組み込みエンジニアになるのは難しい?
組み込みエンジニアは、なるのが難しい職業だという声をよく耳にします。これから組み込みエンジニアを目指そうという方は、なぜ難しいと言われるのか気になるのではないでしょうか。ここでは、組み込みエンジニアが難しいと言われる理由と、組み込みエンジニアになるメリット、未経験から組み込みエンジニアになる方法を紹介します。
組み込みエンジニアになるのが難しいと言われる理由
幅広い知識・スキルが必要
一般的なIT業界のエンジニアと比べて幅広い知識やスキルを求められるのが、組み込みエンジニアの難しさだと言われています。プログラミング言語に加えて、OS、マイコン、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、セキュリティなど、様々な知識が必要です。
組み込み対象となるハードウェアの回路図面をもとに、仕様を理解した上でソフトウェアの仕様を決定していきますが、ハードウェアの仕様書や設計書の不足分を補完しながら開発を進めるケースも少なくありません。ハードウェアの理解には理系の下地が必要なため、参入ハードルが高いと言われることがあります。
C言語の習得が難しい
組み込みエンジニアになるには、ハードウェアの操作に適した言語を習得する必要があります。組み込みエンジニアが開発に使うプログラミング言語は、C言語やアセンブリ言語が一般的です。近年人気のPython、Rubyといった軽量言語は学習難易度は低いものの、ハードウェア操作には向いていません。
C言語は人間が見て理解できる形式で記述できる高級言語ですが、メモリ空間やアドレスの理解が必須です。プログラミング言語の習得難易度が高いことが、組み込みエンジニアになるのが難しいと言われる理由のひとつではないでしょうか。
求められる品質が高い
組み込み開発は、求められる品質が高いという特徴があります。量産を前提とした商品を扱うことが基本のため、バグが許されません。致命的なバグを残したまま市場に出してしまった場合、それが判明した時点で、購入者に通知の上、製品を回収しなければならない場合もあります。そういった手間やコストの損失は避けなければなりません。
演算、通信、制御、割込、例外処理など、多岐にわたる機能を扱うことに加え、どのような状態でも問題なく動作するという高い品質が求められます。
組み込みエンジニアになるメリット
需要・将来性が高い
組み込みエンジニアは、ニーズに対して人材が不足しています。ニーズの高さは大きなメリットといえるでしょう。組み込み系システムは高齢化が進んでいるイメージがあるかもしれませんが、現在は多くの分野でデジタル化が進みIoTが普及しているため、組み込みエンジニアは非常に将来性の高い職業だと言えます。
また、組み込み系システムは、Webサービスやスマートフォンアプリのようなシステムの開発だけをするわけではなく、製品の開発も必要です。機器を生産できる資金力や設備が必要になるため、大手企業の製品開発に携われる機会も多くなります。
平均年収が高い
組み込みエンジニアは、他のエンジニアと比べて平均年収が高い傾向があります。経済産業省の「令和3年 民間給与実態統計調査(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2021.htm)」によると、日本の平均年収が443万円であるのにたいして、組み込みエンジニアの平均年収は586万円です。
なお、組み込み系の業界で活躍しているエンジニアのボリュームゾーンは50代です。挑戦する難易度が高くないという事情もあってか、近年、若手はITエンジニアの中ではWeb系のアプリケーション開発が人気になっているようです。そのため、組み込み系では特に若手エンジニアが重宝され、20代、30代でも年収を上げやすい状況になっています。
豊富なキャリアパス
組み込みエンジニアは、C言語をはじめとするプログラミング言語に加えて、ハードウェアやソフトウェアなどの幅広い知識とスキルが必要です。様々なエンジニアの知識を包括して習得しているとも言えます。習得している知識の幅が広いからこそ、組み込みエンジニアの以外のWebエンジニアやソフトウェアエンジニア、アプリケーションエンジニアなどの職種にもキャリアチェンジしやすいです。業界の動向などに合わせてキャリアを構築しやすいことは、メリットのひとつと考えられます。
また、組み込みエンジニアとして実務経験を積むことで、プロジェクトマネージャーやシステムアーキテクトといった業務にキャリアアップするという選択肢もあります。
組み込みエンジニアは未経験でもなれる
組み込みエンジニアは、習得すべき知識やスキルの幅が広く、プログラミング言語の難易度も高いと考えられているため、難しい職種だと言われています。
その半面、組み込みエンジニアはニーズも年収も高く、将来性が高いというメリットがあります。組み込み系の開発は主に大手メーカーが手掛けているため、大手企業の製品開発に携われるチャンスも豊富です。
確かにハードルが高いという側面もある組み込みエンジニアですが、育成環境の整った企業であれば、未経験からでも組み込みエンジニアを目指すことができます。組み込みエンジニアとして活躍できるようになれば、その後のキャリアパスも様々な可能性が出てくるので、自分の可能性を延ばせる育成環境が整った企業を探してみると良いでしょう。